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ミタブログ

鑑賞、読書、たまに観劇

0001 映画 #湯を沸かすほどの熱い愛 を見た人と共有したい感想。家族と書いてジプシーと読む

映画が好きな作文です。

「湯を沸かすほどの熱い愛」を見てきました。

まずは予告編をどうぞ。

▼概要はこちら(YouTube予告動画の説明文より)。

私には、死ぬまでにするべきことがある。

宮沢りえ主演最新作!!

死にゆく母の熱い想いと驚きのラストに、涙と生きる力がほとばしる家族の愛の物語。

【STORY】
銭湯「幸の湯」を営む幸野家。しかし、父が1年前にふらっと出奔し銭湯は休業状態。母・双葉は、持ち前の明るさと強さで、パートをしながら、娘を育てていた。そんなある日、突然、「余命わずか」という宣告を受ける。その日から、彼女は、「絶対にやっておくべきこと」を決め実行していく。家出した夫を連れ帰り家業の銭湯を再開させる、気が優しすぎる娘を独り立ちさせる、娘をある人に会わせる…母の行動は、家族からすべての秘密を取り払うものだった。ぶつかり合いながらもより強い絆で結びついていく家族。そして母から受けた大きな愛で繋がった家族は、究極の愛を込めて母を葬(おく)ることを決意する。

【CAST】
宮沢りえ杉咲花、篠原ゆき子、駿河太郎、伊東蒼/松坂桃李オダギリジョー

【STAFF】
脚本・監督:中野量太 (『チチを撮りに』)
主題歌:きのこ帝国「愛のゆくえ」

(c)2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会

本作は中野量太監督の商業デビュー作です。詳しくはこちらをどうぞ。

余命僅か、銭湯舞台に家族の物語 中野量太監督「湯を沸かすほどの熱い愛」|毎日新聞

 

渋谷シネパレスの12時30分上映回で見てきました。

同時間帯に新宿バルト9で舞台挨拶が開催されたので、シネパレスは空いているかなと思って。

シネパレスは2階席があるめずらしい映画館です。

わたしが座った2階席最前列中央「Nー6」の眺めはこんな感じ。

f:id:sakubun10:20161030004716j:plain

座るまで忘れていましたが2階席の最前列は2度目でした。

1度目のときも感じたのですが、他の座席より足場が狭く、足を組んで座りたい人には窮屈です。わたしは10回以上組み直しながら見ました。それでも股関節や腰が少し痛かったです。

1階席を含めて6割くらい埋まっていました。左右の席が空いていると荷物を置たり横にもたれたりしながら見ることができるので、これくらい空いていたほうが見やすくて好きです。

この日はなぜか左右とも1席分しか空けずに男性が座っていて、どちらの男性ともツボが合わず、笑い声が若干気になってしまいました。この列のチケットは1番乗りで買っていたので、どうしてあとからそこを買う気になったのかと両隣の男性らを少し恨みました。

写真は消灯前。電気が消えると、正面を向いている分には人の気配を感じなくて済む、落ち着いた映画館なので、ちゃんとくつろげる席さえ取れれば、じっくり映画に浸れる劇場です。割と、おすすめ。

あと、ぴあが出口調査していました。公開初日にいくことは少ないので、初体験。

ぴあ:「湯を沸かすほどの熱い愛」を見ましたか?
作文:(うなづく)
ぴあ:何点でしたか?
作文:……75点。

そう答えておきました。


さて、映画「湯を沸かすほどの熱い愛」ですが、いい映画というよりも好みの映画でした。本作では宮沢りえさん演じる幸野双葉が診断を受けて以降、その病状を下敷きにした双葉の言動が家族にどんな変化を与えていくのかが描かれていました。

序盤は笑いを交えて伏線を張る時間帯で、中盤に伏線を回収しながら真実が解き明かされていき、終盤で各シーンの随所に作家(監督)のメッセージがたくされている、という構成でした。きっと序盤で笑った回数が多い人ほど中盤以降のワンシーン、ワンシーンが心に響いたのではないでしょうか。

かくいうわたしは中盤で明かされる真実が少し突拍子もないように感じられたこともあり、途中は話を追うことに意識を集中しなければならず、見るのがしんどい時間帯がありました。映画は90分なら90分、120分なら120分内に映写されている場面のみでストーリーを語ることが本質なので、双葉の娘(安澄)が手話を覚えていた理由や母に置いていかれる回想シーンの子供の正体を明かすまでの間にそれらの伏線に当たる家族間交流がもう少し丁寧に描かれていたら、もっと自然に映画へ没入できたかと思います。

とはいえ、映画「湯を沸かすほどの熱い愛」は映画としての品質を見るよりも作家(監督)が伝えたい思いに耳を傾けるべき作品なので、ストーリーにがんばって付いていった甲斐はありました。本作では母が家族に注ぐ愛がふんだんに描かれていましたが、家族といってもファミリーではなくジプシーが意識されています。駿河太郎さん演じる滝本や松坂桃李さん演じる向井拓海と双葉との交流が典型例です。

ジプシーというと、わたしは大好きな洋画「ワイルド・スピード」シリーズを思い出すのですが、あれが父性の家族愛なら「湯を沸かすほどの熱い愛」は母性の家族愛。ドミニクのようにカーチェイスで窮地の家族がいる居場所までかっ飛ばして力技で救うことはないけれど、家族が弱っている環境から一歩外に踏み出すために心温かく背中を押す双葉の言動にはグッときました。すべて真実が明かされたときにはドミニクとは異なる愛情表現で双葉がチームを完成させたことに気づきます。

また、オダギリジョーさん演じる幸野一浩がとてもリアルでした。妻の身に双葉のような状況が訪れたとき、なかなかお見舞いにいけない旦那は多いでしょうし、叶えられもしない質問もしてしまいがち。だからこそ、せめて自分ができる限りのことはしてあげたいとみんなに協力を仰いだ一浩の姿に感動。それまで笑いを誘うための登場人物だった一浩の、あの頼りなさを背負ったままみんなを支えて叫ぶ姿を見させられては、こちらは胸を打たれざるを得ません。

一浩の一番の見せ場も、本作のラストシーンも、話の流れからどんな結末になるのかほとんどの人が事前に察していたと思います。それでも、映画の品質とは異なる作品内のメッセージに心を打たれて、愛を感じられるのがこの作品の良さだと思いました。だから、いい映画というより好きな映画。不細工なつくりだとしても、どうにかして伝えたいメッセージがあるということを感じさせる構成、そう、そういった構成自体を取っていることにも感動できる作品です。

追伸
安澄役の杉咲花さん、片瀬鮎子役の伊東蒼さん、どちらも芸達者でした。二人の演技があったから、しんどかった中盤を乗り切れました。(完)


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